ここはホウエン地方、おくりび山。フヨウはジュペッタと共に、とある少女の墓参りに来ていた。フヨウにとっては、ここは幼いころから慣れ親しんだ遊び場。そして、ジュペッタと出会った場所でもある。
長い間、ジュペッタはおくりび山を彷徨っていた。自分がどこから来て、どうして仲間も持たないのか。わけも分からず、ずっとうつむいて。
そんなある日、ジュペッタは幼き日のフヨウと出会った。フヨウはジュペッタを見つけると目を輝かせて彼の手を取り、「一緒に遊ぼう」と笑いかけた。初めて向けられためいっぱいの笑顔を見て、ジュペッタはすぐに彼女を好きになった。
そして時は流れ――彼らは四天王として、ポケモンリーグにやってくる数々のトレーナーたちの挑戦を受け続けていた。薄暗く冷たい部屋に、ステンドグラスが輝く美しいフィールド。どこか故郷のおくりび山に似て、居心地のいい場所。
ジュペッタが口についたチャックをギュッと閉めた。二人だけの、結束のサイン。
さあ、今日もトレーナーが、長い階段をのぼってやってくる。少し息も切れているのにも関わらず、熱い闘志を燃やす瞳がフヨウは大好きだった。
「でも、アタシたちだって簡単には負けないよね、ジュペッタ」
チャリンと、ジュペッタが頷くとチャックの音がフィールドに響く。
「そう、アタシとポケモンの絆、とっても強いんだ!そんなアタシのポケモンたちに、ダメージを与えることができるか、試してごらんよ!」
フヨウはそう言って、ジュペッタとダンスを踊って見せる。幼いころからの、私たちのお決まりのダンス。ジュペッタはもう一度誰かに愛されることで、もとのぬいぐるみに戻ってしまうという言い伝え。だが、彼らのステップは、そんな言い伝えを吹き飛ばすかのように、今日も軽やかにフィールドを照らす。
「ジュペッタ、ぶきみなひかり!」
ジュペッタとフヨウの周囲に、紫色の火の玉が舞い踊る。ダンスのリズムに合わせて舞い踊る火の玉に、トレーナーは少したじろぐ。
「そんなに怖がらないで。ゴーストポケモンだって、皆と仲良くなりたいんだよ」
フヨウの笑顔を見て、ジュペッタはフィールド上へ大きく飛び上がる。私たちで切り開く、私たちの未来。強き絆が、輝く未来を連れてくる。