木々の密集する森の奥で、飛び跳ねる様に駆け回っていたコノハナは、草むらに丸い影を見つけた。なんだろう?とガサリと草を少しだけかき分けてみると、何か見覚えのあるものが落ちていた。これは確か……たまに森にやってくる人間たちが持っていたものではないだろうか。いつもは遠くから見るそれをもっと近くで見てみたくて、コノハナはそろりとそれに手を伸ばした。
その時だ。手を伸ばしたものからコノハナに向かって、ぽふんと細かい粉のようなものが出てきた。びっくりして思わず後ろに飛んで逃げると、それはぬるりと向きを変える。なんだ、人間の落とし物じゃなかったのか……。がっかりしたような、安心したような気持に包まれたかと思うと、コノハナは自分の身体が重くなっていることに気づいた。まぶたが……開いていられない……。ふらりとそのポケモンの隣に転がり、コノハナはすやすやと眠りについてしまっていた。
隣で寝てしまったコノハナを見下ろすも、ほうしを浴びせたポケモンは、コノハナが動かないのを知ってぼうっと宙を見上げた。頭上から差し込む陽の光が、じんわりとポケモンの顔を温める。ああ、今日はいい天気だなあ。