水面から降り注ぐ真っ白な光は、晴れ渡った空模様を知らせていた。身体をうねらせ水をかけば、泡立った気泡がキラキラと宝石の様に踊りだす。その光がウロコに反射し、ますますその姿を飾る様子に、湖の中を泳ぐポケモンたちも思わず見とれていた。こんな風に、視線を送られるのは初めてだ。なんて誇らしく、気持ちがいいのだろう。身体を包んでいた気泡が頭上へ浮かんでゆくのを追って、輝く水面を見上げた。水の向こうには、いったいどんな景色が待っているんだろう。見てみたい。このウキウキとした気持ちをそのままに、新しい世界に行ってみたい……!水を切り裂くように、激しく体をうねらせ、湖の底から一気に水面まで飛び上がってみる。身体を包む外の空気はひんやりと肌を包んでいた。
まるで、水の中にいるみたいに――。
むにゃむにゃと口から気泡を出しながら、ヒンバスはうすぼんやりと太陽の光がさす水底で眠っていた。寝ぼけたままにぱたぱたと尾ひれを動かすヒンバスの寝顔は、幸せそうに微笑んで見える。夢の中で、いつか自分の上を優雅に泳いでいった、あのウロコの美しいポケモンになって。夢のとりこになったヒンバスは、目の前をゆっくりと滑っていくきれいなウロコの音に、まだまだ気づく様子はないようだ。
早く、夢から覚めてヒンバス。あなたの本当の夢は、すぐ目の前にある。