2024年12月21日(土)と22日(日)に開催された「チャンピオンズリーグ 2025 大阪」(以下、「CL2025 大阪」)の各リーグ優勝者にインタビューを実施しました。実際に使用されたデッキとあわせてご紹介します。
マスターリーグ優勝 ワカイ ヨウタ選手
―――優勝おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。
正直、優勝できるとは思っていませんでした。いまは嬉しさよりも驚きの方が大きいです。
―――決勝戦ではワカイ選手の残りのサイドの枚数が6枚のまま、お相手のカミカリヤ選手の残りのサイドの枚数残り1枚という絶体絶命の場面もありました。そこからの大逆転劇は多くの視聴者を驚かせたことと思います。逆転勝利の要因は何だったと考えますか。
1 週間前に出場したシティリーグで優勝できたときもそうなのですが、大会を通してずっと落ち着いてプレイできていたことが大きな要因だと思います。
―――大きな注目が集まる決勝戦で、配信もされている中、しかもあの苦しい局面でなお冷静さを保てていたというのは本当に凄いです。終始苦しそうな表情をされていた印象ですが、勝負を分けたのはどのタイミングだったのでしょうか。
相手の方がモモワロウexを出さざるを得ない状況を作った後、そのモモワロウexをブリジュラスexで倒す番にナンジャモを使って相手の手札を1枚にして動きを止められるようにプレイしました。相手が必要なカードを引かないように祈るしかありませんでしたが、結果的にそれがうまく決まりました。あそこが試合の分水嶺だったように思います。
また、その後の番にオリジンディアルガVSTARのワザ「スタークロノス」を活用して2回の番をかけて相手のトドロクツキを2匹倒して、こちらも残りのサイドの枚数が1枚となりました。何とか追いつきはしたものの、ここでも相手が山札から引いたカードによっては負けていたので、本当にギリギリの綱渡りだったと思います。
―――観ている側としてはこれ以上ないほど盛り上がった試合でした。今回のデッキを使用することに決めた経緯についても教えてください。
今回の環境ではかなり負けづらいデッキだと考えたからです。ブリジュラスexは特性 「ごうきんビルド」のおかげで、ワザに必要なエネルギーを手軽に付けられます。またグッズに頼らずともブリジュラスexへの進化を達成しやすいので、スボミーのワザ「むずむずかふん」がそこまで気になりません。おかげで安定感が高く、かつオリジンディアルガVSTARのワザ「スタークロノス」をうまく使うことでほかのデッキにはできない特殊な勝利ルートを作れるというのが強いところだと感じています。
―――今大会でのワザ「スタークロノス」を活用できた割合はどれくらいでしたか?
だいたい90%くらいだったと思います。ワザ「スタークロノス」を使うことを目標に試合を組み立てていくよう、つねに意識して戦っていました。
―――とくに活躍したカードがあれば教えてください。
オリジンディアルガVSTARはもちろん、ジャミングタワーもいい活躍をしてくれました。たとえばサーナイトexのデッキを相手にしたとき、勇気のおまもりをつけたフワンテにブリジュラスexが倒されてしまう場面があります。その返しにジャミングタワーを出してフワンテをきぜつさせ、ワザ「スタークロノス」も絡めてサイドをいっきに取り返す動きができるところが強かったです。ほかにもワザマシン エヴォリューションや森の封印石、 きらめく結晶などの強力なポケモンのどうぐを無効化できる点も魅力的でした。
―――配信では小学校からのご友人がずっと応援してくれていたというお話もされていました。この後、何を伝えたいですか。
個人的な話で恐縮なのですが、彼は私よりも後からポケカを始めたにもかかわらず、今日までずっと大型大会での成績は彼の方が上でした。それが悔しくて、彼に追いつきたいという想いでこれまで練習を頑張ってきたんです。そして今回、彼を追い越すことができました。その嬉しさもありつつ、これからもふたりでもっと上を目指していきたいと思っています。そういう意味で、「つぎは君の番だぞ」とメッセージを送りたいです。
―――まさに理想的な切磋琢磨の形ですね! それでは最後に「ポケモンワールドチャンピオンシップス 2025」(以下、「ポケモン WCS2025」)に向けて意気込みをお願いします。
これまでは「ポケモン WCS2025」に出場することを目標としていました。これからは世界1位になるという強い気持ちをもって、練習に取り組もうと思います。
シニアリーグDAY1優勝 カネシロ イツキ選手
―――優勝おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。
チャンピオンズリーグ(以下、「CL」)での優勝は初めてなので、もう素直に嬉しいです。
―――これまでの戦績はどうだったのでしょうか。
今年の2月に「チャンピオンズリーグ2024 福岡」で初めてCLに出場して、TOP16でした。その後「ポケモンジャパンチャンピオンシップス 2024」でもTOP16、前回の「チャンピオンズリーグ2025 東京」(以下、「CL2025 東京」)が6勝2敗の81位でした
―――いきなりTOP16で、しかもアベレージもとんでもなく高いですね!今回のデッキを選んだ理由を教えてください。
実はこれまでの大会もすべてカビゴンのデッキを使ってきたので、練度には自信があります。僕はタケルライコexとオーガポンみどりのめんexを組み合わせたデッキのようなスピード重視で攻めていくデッキを使うのがちょっと苦手で、守りに徹しつつ我慢しながら逆転を狙うようなデッキが好きなんです。中でもカビゴンのデッキは自分のスタイルにピッタリなデッキだと感じているので、ずっと使い続けています。
―――デッキのこだわりポイントはどこですか?
とにかく安定に寄せているところです。前回の「CL2025 東京」でもそうでしたが、1敗でもしてしまうと本戦に上がれない可能性がでてしまいます。なので予選全勝できるくらい安定感を重視してデッキを組んでいます。
具体的には、なるべくバトル場にカビゴンを出してスタートできるようにカビゴン以外のポケモンを極力減らしていたり、ネストボールやポケギア3.0、ペパーといったカビゴンを出すことにつながるカードをすべて4枚ずつ入れています。
―――「CL2025 東京」からもまた環境が変わっていると思いますが、カビゴンのデッキの立ち位置というのはどのように見ていますか。
あまりよくないというのが正直なところです。でも、それによってカビゴンのデッキの使用率が落ち、警戒が甘くなることで逆に勝ちやすくなるのではと考えました。実際、以前ならフトゥー博士のシナリオが入っていたであろうデッキに入っていなかったり、モモワロウexやキャンセルコロンが抜かれたであろうデッキと何度かマッチングしました。甘くなった警戒の隙を突けるという考えは間違っていなかったんだと思っています。
―――今大会でとくに活躍したカードは何ですか?
おはやし笛が大活躍でした!ルギアVSTARデッキを相手にベンチをすべて埋めてアーケオスが出せなくしたり、カビゴンを警戒してベンチにポケモンを出さないようにしている相手に対して無理やりポケモンを出させたり。本来は不利な相手に何度も勝たせてくれたので印象に残っています。
―――いちばん印象的だった試合について教えてください。
本戦1回戦のブリジュラスexのデッキとの対戦です。そもそもカビゴンのデッキはブリジュラスexのデッキに絶対勝てないと言われるくらいの相性差なんです。とくに本戦のルールだとサイドを4枚とってしまえば時間切れになっても相手の勝ちになるので、相手の方が勝利条件を満たしやすくなります。だから対戦相手のデッキがブリジュラスexだと分かった時点で「今回もTOP16で敗退か......」という思いが頭をよぎりました。でも今回はミミッキュを2枚採用していたこともあり、相手がミミッキュを突破できない盤面を作り出すことに成功しました。普段の練習でもまったく勝てない相手に勝つことができたので、すごくうれしかったです
―――「ポケモン WCS2025」に向けて意気込みをお願いします。
「ポケモン WCS2024」では4勝3敗1分と非常に悔しい結果でしたので、つぎこそは納得のいく結果を出したいと思っています。絶対にトロフィーを持って帰ってきたいです。
シニアリーグDAY2優勝 ヨシムラ ソウマ選手
―――優勝おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。
本当に嬉しいです! 調整や練習に付き合ってくれた仲間と家族に感謝を伝えたいです。
―――ヨシムラ選手は「ポケモン WCS2022」で3位に入賞されていますよね。チャンピオンズリーグでの戦績はこれまでどうだったのでしょうか。
ジュニアリーグに参加していた頃に2回、3位になったことがありますが、シニアリーグに上がってからは初めての表彰台です。優勝も初めてなので嬉しいです。
―――今回はブリジュラスexとオリジンディアルガVSTARを組み合わせたデッキを使用されました。このデッキに決めた理由を教えてください。
じつは大会前日の夜に急遽使用デッキを変更したんです。本当はさまざまな「未来」のポケモンで戦うデッキにしようとしていたのですが、サーナイトexデッキに対してやや不利な点が気になっていました。そんな中、DAY1でブリジュラスexとオリジンディアルガVSTARを組み合わせたデッキが活躍しているという話を聞いて、デッキを変更することを決めました。
―――本当にギリギリで変更されたんですね。とはいえそのデッキを使ったこと自体はあったのでしょうか。
自分で使ったことはなかったのですが、仲間のひとりがDAY1で実際に使用していました。主要なデッキ相手の立ち回りについてアドバイスをもらいながら脳内でシミュレーションしつつ、1時間くらい練習もして本番に挑みました。
―――それで本番使いこなせるのが凄いです。ジュニア時代から長くプレイしている経験値によるものでしょうか。
それはあるかもしれません。デッキを変更することを父に話したときは、すごく不安そうにしていました(笑)。でも僕を信じて送り出してくれたので、いい結果を出せて嬉しいです。
―――とくに印象的だった試合はありますか?
準々決勝です。「ポケモン WCS2025」の出場権がかかっている重要な対戦だったので、勝ったときはあまりに嬉しくて人前だったにもかかわらず泣いてしまいました。いま思い返すと少し恥ずかしいですが、それだけ力の入った試合でした。
―――それでは、そんな強い想いで勝ち取った「ポケモン WCS2025」への意気込みをお願いします。
今回でポケモンWCSには4回目の参加となりますが、日本と海外でのリーグ分けの違いで、「ポケモン WCS2025」では初めてマスターディビジョンで参加することになります。日本、海外問わず数々の強豪プレイヤーと戦うことになりますが、その中でも優勝を目指して頑張ります。
それと、「ポケモン WCS2022」で戦ったことがきっかけでフランスのプレイヤーと仲良くなり、いまでも交流を続けているので再会できるのが楽しみです。
ジュニアリーグDAY1優勝 ナナオ キョウスケ選手
―――優勝おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。
「ポケモン WCS2025」の出場権利を得ることを目標にしていたのですが、優勝できるとは思っていなかったのですごく嬉しいです。
――ドラパルトexのデッキを選んだ理由を教えてください。
レギュレーションマーク「F」のカードが使えなくなってしまっても影響があまり大きくないデッキだからです。今回の大会だけでなく、今後に向けてゆっくり練度を高めていきたかったので使用感が大きく変わらないデッキを使いたいと思っていました。ドラパルトexはワザ「ファントムダイブ」でベンチポケモンにもダメカンをのせられて、上手く使うことでいっきにサイドをまとめどりできるところが気に入っています。
―――決勝戦ではなんとサイドのいっきどりを見せてくれましたね!
じつは、すごく緊張していたので残りのサイドの枚数がが5枚なのに6枚だと勘違いしていて、本当は1回前の番に5枚とって勝てていたところを1回分多くかけてしまいました。
(お父さん)試合を見守っている身としては凄くひやひやしました(笑)。無事につぎの番が回ってきて本当に良かったです。
――優勝が決まった際は、観客席から大きな歓声が上がっていました。練習仲間が見守っていたのでしょうか?
(お父さん)はい。普段いっしょに練習している地域の仲間たちが応援してくれていました。
―――大会を通して、とくに印象に残っている試合はありますか?
予選7回戦のルギアVSTARデッキとの対戦です。アーケオスを2匹同時に倒さないといけないのですが、そのための練習はお父さんとずっとやってきたので、本番でもちゃんと練習通りに決めることができました。
―――今日もっとも活躍したカードは何でしたか?
ヨノワールです。特性「カースドボム」でたくさん相手のポケモンを倒してくれました。
―――「ポケモン WCS2025」に向けて、意気込みをお願いします。
「ポケモン WCS2024」ではDAY2進出がかかった最終戦で負けてしまって、すごく悔しかったです。つぎこそはDAY2へ行けるように、もっともっと練習します。
(お父さん)普段はあまり泣かない子なんですが、そのときは珍しく悔し泣きをしていました。成績という面でもそうなのですが、負けた相手がシニアディビジョンに行ってしまう前にリベンジを果たしたいという想いもあるようです。
ジュニアリーグDAY2優勝 ナラ アユム選手
―――優勝おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。
じつは今日誕生日だったので、優勝もできてダブルで嬉しいです!
―――なんと、お誕生日おめでとうございます!最高の誕生日プレゼントを自分の実力で勝ち取りましたね。今日はご家族もいっしょに参加されたのですか?
大会には弟とお父さんといっしょに参加しました。妹やお母さんも応援に来てくれたので、家族みんなに感謝の気持ちを伝えたいです。
―――ご家族みんなで参加されて、とても仲がよさそうですね。普段から練習も家族でされているんですか?
たまに、いっしょにやってくれます。
―――ポケカへの情熱はアユム選手がとくに高いようですね(笑)。今回はルギアVSTARのデッキを使用されていますが、選んだ理由は何だったのでしょうか。
最後の最後までどのデッキにするか悩んでいたのですが、DAY1の様子を聞いて、本当はカビゴンのデッキで出ようと思っていました。でも直前だったのもあって必要なカードが揃えられなくて、使い慣れているルギアVSTARのデッキにしました。
―――なんと!結果的にルギアVSTARにして正解だったのかもしれませんね。ルギアVSTARのデッキは長く使っているんですか?
はい。本当はあくタイプのリザードンexのデッキがいちばん自信があったのですが、スボミーがいると戦いづらいと思ったので今回は使うのをやめました。
―――今回のデッキでとくにこだわったポイントはありますか?
ボスの指令を4枚入れているところです。博士の研究でたくさんトラッシュしちゃって肝心なときに使えなくて困ることがあったので、ルギアVSTARのデッキを使うときは4枚入れるようにしています。
―――大会を通していちばん活躍したカードは何でしたか?
テツノカイナexです! 予選では1度もワザ「ごっつあんプリファイ」を使えませんでしたが、本戦の大事なところで決めてくれました。
―――「ポケモン WCS2025」に向けて、意気込みをお願いします。
世界大会も優勝したいです! あと、英語を話せるようになりたいです。海外の選手とは対戦したことがないので、少しドキドキします。
今回は 2024 年最後のチャンピオンズリーグ、そしてスタンダードレギュレーションにおいてはレギュレーションマーク「F」のカードが使用できる最後のチャンピオンズリーグとなりました。とくに、これまで何度も大活躍を見せてくれていたレギュレーションマーク「F」のポケモンVたちがこれでいったん見納めとなります。
そんな節目の機会でルギアVSTARやオリジンディアルガVSTARを使ったデッキが優勝に輝き、ほかのポケモンVたちも多く活躍してくれたことは嬉しい結果と感じる方が多いのではないでしょうか。とくにオリジンディアルガVSTARはマスターリーグ決勝戦において最大の個性であるVSTARパワーのワザ「スタークロノス」を最大限活用し、非常にドラマチックな逆転勝利を果たしました。会場の選手や観客はもちろん、配信を見ていたすべての視聴者を魅了したであろうあの刻を、私たちは忘れないでしょう。
そして、次回「チャンピオンズリーグ2025 福岡」は 2025年2月15日(土)と16日(日)に開催されます。そこでは、今大会で最新情報が発表された拡張パック「バトルパートナーズ」に収録される「トレーナーのポケモン」の活躍も期待されます。新たな環境でどんなデッキが勝ちあがるのか、いまから楽しみです!