みなさんはポケモンカードを遊ぶとき、一緒にポケモンコインを使っていますか?
ポケモンコインにはポケモンを始めとした、様々なデザインが彫られていますよね。
ポケモンコインの制作は一体どんな方が手がけているのでしょうか。
今回は大阪府内某所にて「ポケモンコインの金型を彫っている職人さん」のお話を伺います。
ポケモンコインはたった一人の職人さんが彫り続けていた!
―――はじめまして。いつ頃からポケモンコインの金型を彫られているんですか?
彫刻屋の花岡将美(はなおかまさみ)です。
細かい期間は覚えてないけど、一人で20年以上は続けていますね。
―――ポケモンコイン最初の1枚になると思いますが、このラッキーのコイン(第1弾スターターパック付属ラッキーのコイン)は覚えていますか?
はい、記憶にあります。これ私が彫りましたよ。
最初のポケモンコインから彫っていることになりますね。
―――お一人で続けられているとのことですが、後継者の方などはいらっしゃるんですか?
たぶん息子が彫ると思います。
もともと私が彫刻を教えたので継ぐことは可能ですね。
本人がやると言えば、ポケモンコインを彫り続けることができます(笑)。
ポケモンコインの金型を彫る為のカッター(刃)は全て自家製!
―――ポケモンコインは細かいデザインのものが多いですが、どのように彫っているのでしょうか?
機械の先端に付けるカッターの細さを調整して、細かな箇所を彫っています。
デザインによって必要になるカッターの細さが違うので、ダイヤモンドのドレッサーを使い、自分でカッターを作っています。毎回デザインが違うので、コイン1種類ごとに全て違ったカッターが必要になります。
いま彫っているコインは7種類のカッターを使っています。
とても硬い素材の原版を細いカッターで彫る必要があるので、カッターの消耗も早くそれぞれの種類ごとに50~60本作ります。
全く同じサイズのカッターを複数作ることもかなり難しいですね。
1つの原版に16個の金型を彫るので、まず1つの金型を彫りOKが出たらカッターを全部揃えます。
その後残り15個の金型を同じように彫っていきます。
実際にカッターを動かして彫っているのは右手です。
拡大したデザインの型を右手でなぞり、先端のカッターがその動きを拾います。
もちろん目で金型を確認しながら彫る必要があるので、右手は感覚だけで彫っています。
―――まさに職人技ですね...。どんなことに気を付けて金型を彫っていますか?
コインの端から彫るようにしています。
端っこはほんの少しでもはみ出てしまうと、その時点で金型が使えなくなってしまいます。
集中力を一番使うところなので、まず端から彫ります。
手彫りのこだわり
―――最近は機械彫りの精度も上がってきていますが、手彫りならではのこだわりはありますか?
やはりカッターの部分ですね。
機械を動かすことは練習をすればできるようになります。
しかし、機械とコインのデザインに合わせて複数のカッターを用意することは、長年の経験がないとできない事だと思います
ポケモンコインの為にここまでこだわってカッターを自作しているのは自分くらいでしょうから(笑)。
―――今まで彫ってきたポケモンコインで難しかったコインは何かありますか?
3匹のポケモンが一緒になっているコインはどれも苦労しました...。
細かい線や、彫ってはいけないとても小さな点のデザインが多く、本当に大変でした。
そういう意味で一番印象に残っていますね。
ポケモンの名前は大怪獣?!
―――ポケモンコインの他にはどんなものを彫刻されているのでしょうか?
元々は鏨(たがね)を使って彫ることが本職だったので、金型彫刻なんかを作ってました。
他にも麻雀牌や将棋の駒の金型も自分が彫ってます。
最近は植木鉢にブドウのデザインを彫ったりもしています。
―――これまでものすごい数のポケモンコインを手がけてこられたと思いますが、ポケモンの名前はどのように覚えていますか?
新しいポケモンの名前は教えてもらえないことが多いんですよね。
いま彫っているポケモンは勝手に「大怪獣」って呼んでますよ(笑)。
「大怪獣」と呼ばれたこのポケモンは一体・・・?
―――最後にポケモンコインを使っている方へメッセージをお願いします。
ポケモンコインを使ってくれてありがとうございます。
少しでも「いいな」「きれいだな」と思ってくれたらうれしく思います。
11月29日(金)に発売した「スターターセットV」には5種類のデッキがあり、それぞれに違ったデザインのコインが封入されています。
「スターターセットV 炎」のヒバニー、「スターターセットV 雷」のモルペコ、「スターターセットV 闘」のイシヘンジンの3種は、花岡さんの彫った金型から作られたコインになります。
是非、手彫りのデザインをお手に取ってみてください。