毎週水曜日14時に更新! 連載企画「限界まで語り尽くす! My Favoriteポケカ」では、ポケカをプレイしているあの有名人やポケカ四天王など様々な人たちから話を聞いて、「My Favoriteポケカ」、すなわち「ポケモンカードゲームの中で気に入っているカード」を、好評発売中の新商品から1枚紹介してもらいます。
第17回目となる今回は、最終回です。イトウシンタロウ選手にお話をお伺いしました。
プロフィール
ポケカ四天王の一人。「ポケモンワールドチャンピオンシップス2016」カードゲーム部門 マスターディビジョン 世界チャンピオン。「誰も気づいていないカードの組み合わせを探していく過程が楽しい」といい、独創的なデッキで予想外の戦いかたをする。
―――こんにちは。今日はよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
―――さっそくですが、自己紹介をお願いします。
「ポケモンワールドチャンピオンシップス2016」カードゲーム部門 マスターディビジョン 世界チャンピオンのイトウシンタロウです! 普段はハンドルネームの「とーしん」で活動しています。
――ポケモンカードとの出会いはいつだったのでしょうか。
中学生の頃に、友人たちと一緒にリーフィアLv.XとグレイシアLv.Xがメインの「夜明けの疾走」という拡張パックを買ったのがはじめてでした。なので、ポケモンカード歴は約10年になります。2016年に世界チャンピオンになったほかにも、昨年の世界大会では準優勝することができました。
―――コンスタントにすばらしい成績を残されており、ポケカ四天王としてもご活躍中のイトウシンタロウ選手、その「My Favorite ポケカ」が気になるところです!
ドデカバシです。
(強化拡張パック「伝説の鼓動」収録)
このポケモンが持っている「エナジーカット」というワザは、シールド戦において非常に強力です。先日行われたシールド戦のイベント「リザードンHR争奪戦1stバトル」においても、大きな活躍をして自分に勝利をもたらしてくれました。
アーカイブが残っていますので、実際に活躍したシーンを見ていただくことができます。
―――優勝者インタビューでは、「ドデカバシでライバロリさんに逆転した1回戦」がもっとも印象に残った試合だったとお答えいただいていましたね。このイベントと同様にシールド戦で行われる「リザードンHR争奪戦」や「家(うち)でもシールド戦」キャンペーンは現在も開催中なので、今回の「My Favorite ポケカ」は、参加予定の方にとって大きなヒントになるのではないでしょうか。
シールド戦で有用なカードであることはもちろん、通常の構築戦においても、ワザ「ループキャノン」が非常に強力です。ツインエネルギーをつけてワザを使っていくことで、デッキに4枚しか採用することのできないツインエネルギーを常に手札にキープしながら160ダメージで攻撃することができます。
―――相性のよいカードは、具体的にいうとどのカードになるでしょうか。
ツインエネルギーを最大限活用できるガルーラと相性がいいと思います。ドデカバシのワザ「ループキャノン」の160ダメージと、ガルーラのワザ「かたきうち」の120ダメージを合わせることで、強力なTAG TEAM GXであるミュウツー&ミュウGXやピカチュウ&ゼクロムGXなどを、2回の攻撃で倒していくことができます。そうすれば、有利に戦っていくことができるでしょう。
―――合計で280のダメージになるので、ポケモンVで最も高いHPを持つホエルオーV(2020年8月19日(金)現在)も、ピッタリきぜつさせることができますね。
また、このカードはケララッパから進化します。ケララッパの特性「とつげきラッパ」によってエネルギーをいくらかテンポアップすることができるので、エネルギーのついていない状態からでも突然奇襲をしかけることができます。ヤレユータンとともに用いることで、手札にエネルギーがあれば、エネルギーを1枚確定でつけることができるようになることも、このカードを使ってデッキを作るときに抑えたいポイントになります。
―――「リザードンHR争奪戦1stバトル」では大活躍し、構築戦でもすごく強そうなドデカバシですが、弱点はあるでしょうか。
ずばり弱点が雷タイプなので、サブアタッカーに格闘タイプのポケモンを採用して、その弱点を補っていく形でデッキを作るのがいいかなと思いました。
―――それでは、今回作成いただいたデッキをご紹介ください。
ドデカバシが、メインアタッカーとしてしっかり活躍していける形になるように作成しました。ドデカバシに進化するためにはツツケラ→ケララッパ→ドデカバシと2回進化が必要になるので、対戦の序盤はベンチにポケモンを並べることを優先して動いていきましょう。
自分から動き出して戦いに行く場合は、ドデカバシのワザ「ループキャノン」から使うことになりますが、その試合展開はそう多くはないでしょう。
―――と、言いますと?
大半の試合は相手の動きに合わせて、ガルーラのワザ「まきかえす」やジガルデのワザ「コアリベンジャー」から逆転を狙うカウンタータイプの戦い方になります。また、サイドを複数枚取られてしまうポケモンを採用していないので、最近流行りのムゲンダイナVMAXにサイド差をつけられることがなく、有利に戦えるデッキになっていると思います。
―――ドデカバシだけでなく、採用するポケモンをサイドが1枚取られるポケモンで統一することで、そういったメリットも生み出せるのですね。イトウシンタロウ選手、「My Favorite ポケカ」のご紹介、ありがとうございました! 最後に、ポケモンカードに関するエピソードをご自由にお話しいただければと思います。
今回ご紹介したデッキの中には、ポケモンカードの経験で得た自分の知見がちりばめられています。自分が初めて作ったポケモンカードのデッキは、リーフィアLv.XとグレイシアLv.Xを合わせたデッキでした。リーフィアLV.Xが「エナジーそくせい」というエネルギーをテンポアップできるポケパワーを持っていて、エネルギーをつける効果の強さを学びました。またネンドールという、場にいることで手札のまわりを支えてくれる大切なカードもありました。現在のジラーチに通ずるところがあります。
そして、自分がはじめて日本代表になった2013年の大会では、テラキオンというカードから
- 自分は少ないエネルギーで、エネルギーのついた相手の主力ポケモンをたおすことの強さ
- 雷タイプや悪タイプの弱点をつける闘タイプの強さ
を学びました。
そこから世界大会に参加していくプレイヤーになった自分ですが、こういった経験値が自分を形作っているんだなと時より思います。
―――世界チャンピオンのご経験があるイトウシンタロウ選手ですが、これまで色々なカードに触れてきて、その度に多くのことを学ばれ、実力を磨いてこられたのですね。そして、自分の好きなカードだからこそ、そのカードの強いところを探そうとすることや、苦手なところを補おうとする気持ちが湧いてくるものです。その意味では、自分自身の「My Favorite ポケカ」を見つけることこそが、上達への一番の近道といえるのかもしれません。イトウシンタロウ選手、本日はありがとうございました!
ありがとうございました。
「限界まで語り尽くす! My Favoriteポケカ」ではこれまで、ゲストの皆さんにそれぞれ独自の観点でカードの効果を、あるいはポケモンへの愛を語っていただきました。トレーナーズウェブサイトでの記事公開は今回で最終回になりますが、ここまでご愛読いただいた皆さんがこれから何かお気に入りのカードを見つけたときに、「My Favorite ポケカ」というフレーズを思い出して、今度は皆さんの言葉でそのカードの魅力を語ってみていただけると嬉しいです。誰かに語ることで、そのカードへの理解や思い入れがいっそう深まったり、コミュニケーションの中でもっと楽しくポケモンカードを遊んでいただけたりして、「My Favorite ポケカ」という言葉が、皆さんの体験をより豊かにする存在であり続けることを願います。
全17回にわたる連載企画、長らくのご愛読ありがとうございました!