ポケカを始めたきっかけを教えてください。
小学1年生の頃に、近所の友だちといっしょに1パックだけ買ったのが最初です。そこから構築済みデッキもふたりでいっしょに買って、拡張パックもいっぱい買って、レギュレーションやルールは関係なくふたりだけの世界で和気あいあいと楽しんでいました。
本格的にポケカの対戦を楽しむようになったのは
その友だちとは別の中学校に進学したのもあって、いったんポケカから離れてしまったのですが、高校で新しくできた友だちがCLでも上位に入るくらいガチのポケカプレイヤーで、その影響を受けて本格的に対戦をするようになりました。初めてその友だちと対戦したときボコボコにされたのが悔しくて、どうにか勝てるようになりたいと思ったのも大きなモチベーションになっていましたね。
プレイを簡略化するほどミスも減る
ゆっくりじわじわ追い詰める戦いかたが得意
得意な戦いかたを教えてください。
1回の番の中でやることが少ないデッキが好きですね。選択肢はいっぱいあった方がいいのですが、実際にやることは少なければ少ないほどプレイが簡略化されてミスも減ると思っていて、自分にはそういうデッキが向いていると感じます。
クラッシュハンマーで相手のエネルギーだけトラッシュして番終了って感じですかね。
あぁ、いいですね。そうやって山札切れを狙うタイプのデッキも好きなデッキタイプのひとつです。それこそアイアントのワザ「くいあらす」を使って山札切れを狙うデッキを使っていたこともありますし、特性「かがくへんかガス」のガラル マタドガスとクロバットVMAXのワザ「ステルスポイズン」を組み合わせたデッキも愛用していました。どれもゆっくりとした展開のデッキばかりで、CL2022 愛知で優勝したときのデッキも同じ考えから特性「ミラクルボディ」のミルタンクを使いたいという発想がいちばんにあって、そこから環境に合うように構築していった感じです。
環境デッキで勝てるのは一握りの強者だけ
それらに有利なデッキを作ることが重要
デッキ作りで大事にしていることを教えてください。
まず、環境デッキと呼ばれる多くの人が使用する流行のデッキを僕が使うことは考えていなくて、環境デッキに有利なデッキを作るというのが個人的に重要だと思っています。環境デッキは多くの人が念入りに対策していますし、多くの人が似たデッキを使っているぶん、プレイングスキルの差が如実に出ます。僕はプレイングスキルで上位のプレイヤーに勝つ自信がないので、相性の有利なデッキを作ることでスキルの差を埋めようと考えています。
実際、有利なデッキというのはどうやって作るんですか?
簡単なのは弱点をつくことですが、それだと特定のデッキにしか有利を取れないので、別の観点でなるべく幅広いデッキに対して有利を取れるポケモンをまずは探します。CL2022 愛知の環境だと、それがミルタンクでした。とはいえ、ミルタンクにも苦手なポケモンは当然存在します。ワザ「ダイミラクル」で特性を無視して攻撃してくるミュウVMAXがそうです。なので、ミュウVMAX対策として悪タイプのガラル ファイヤーなどを採用しています。
なるべく多くの環境デッキに有利を取れるポケモンをメインに据えて、そのポケモンが苦手な相手に有利なポケモンをサブアタッカーとして採用するわけですね。
勝率を上げるためには「諦める勇気」も必要
とはいえ環境デッキすべてを対策するのは半ば無理じゃないですか?
ぜんぶを完璧に対策するのは無理かもしれません。実際、僕が使ったミルタンクとガラル ファイヤーのデッキもジュラルドンVMAXのデッキには勝てないです。ただ、ジュラルドンVMAXは、ミュウVMAXやアルセウスVSTARなどに比べれば数が少ないと予想していたので、勝つのを諦めることにしました。
使用率が高いわけではないにしても、まったくいないわけでもない。そんな相手に当たったら負けでいいというのは大胆な判断ですね。
全体の使用率を見るとそうかもしれませんが、CLのような大会では勝てば勝つほど環境デッキとマッチングする可能性が高くなっていくと思います。なので、実質そういったデッキと当たる可能性が高いのは序盤だけなんです。それはそれとして、CL2022 愛知でのジュラルドンVMAXデッキは想像以上に使用率が高くて、僕がマッチングしなかったのはかなり運がよかったですね(笑)。
自分らしいプレイスタイルを確立し
自身の成長を感じる転機となった大会
これまででいちばん印象に残っている大会は何ですか?
シティリーグ アディショナルシーズンⅡが自分の中では大きな転機になった大会だなと思っています。というのも、初めてオリジナルのデッキを作って挑んだ大会だったんですね。そこである程度結果を残せたことで、環境を読んでデッキを作ればちゃんと勝てるんだっていう自信になりました。
どんなデッキだったのですか?
特性「くいだめ」のカビゴンとジュラルドンVMAXを組み合わせたデッキです。ジュラルドンVMAXが環境に合っているなと感じたところが出発点だったのですが、いろいろな構築を試してもなかなかしっくり来なくて。当時はミュウVMAXの影響で展開が速いデッキが多くて、僕も自然とそれに合わせた構築を組んでいたのですが、いったんその固定観念を取っ払ってゆっくり耐える構築にしてみたら、自分に合った使いやすいデッキになりました。そこで自分の得意な戦いかたが確立されたような気もしていて、そういう意味で重要な大会だったなと感じています。
無邪気な笑顔に残酷さも秘める幼少期
カエンジシで友だちを泣かせてしまう
好きなカードを教えてください。
いちばん思い出に残っているのは、「ポケモンカードゲームXY」シリーズ初期のパックに収録されていた、相手のたねポケモンからワザのダメージを受けない特性「いかくのたてがみ」を持っているカエンジシです。小学生の頃にこのカエンジシを使って、友だちを泣かしていた思い出があります(笑)。
ふたりだけの世界で和気あいあいと楽しんでいたって言っていたような。和気あいあい……?
おかしいですね。でも、少なくとも僕はこの頃も純粋にポケカを楽しんでいたと思いますよ。
お友だちも同じ思いであることを願うばかりです。
甲子園を本気で目指す高校球児
ポケカ以外に、何か打ち込んでいるものはありますか?
高校では野球部に入っていて、本気で甲子園出場を目指して毎日練習しています。自分の通う高校が歴史と伝統のある学校でかつ進学校ということもあり、春のセンバツにだけ存在する21世紀枠という特別枠での出場も狙っています。
21世紀枠というと、困難な練習環境の克服、地域貢献活動への取り組み、特色ある部活動の実施などを条件に選出される特別出場枠ですね。
そうです。とはいえ、もちろん野球の実力も高くなければ選ばれません。監督からは、都道府県大会でベスト4に入ることを目標に設定されています。
このレベルで甲子園を目指す本気の高校球児がポケカの全国大会で優勝している事実が、凄すぎて飲み込めないですね……。と、とにかく、野球でも素晴らしい結果が残せるように応援しています!
ポケカ、野球、勉強の三刀流!!
よく行くジムはどこですか?
ちょっと前までは京都駅の近くにあるドラゴンスター京都店によく行っていました。立地的に人もたくさん集まるお店なので、対戦相手にも困らないと思います。
いまは部活が忙しいですよね。
そうですね。今度は部活の方の大会が近いので、こっちに専念することになると思います。その後は絶対に勉強を頑張るべきだと思うのですが、僕がポケカをやりたい願望に打ち勝てるかどうか……。
進学校なら勉強も大変そうです……。ポケカ、野球、勉強の三刀流は超人すぎます。いろいろと落ち着いたらまたポケカを遊んでほしいです。
笑顔で仕事をする父に憧れて
将来の夢は何ですか?
学校の先生になって、野球部の顧問になることです。
もうすでに指導者側を目指しているんですね。
父がまさしく学校の先生でかつ野球部の顧問なんです。子どもの頃からそんな父の背中を見て育ったので、小学生の頃にはもう父のようになりたいと思うようになっていましたね。仕事っていうとオフィスで座って黙々とパソコンに向かってやるイメージがあったので、笑って楽しそうに仕事をしている父の姿に憧れた覚えがあります。